Claude Code 実践:コーポレートWebサイトを一人で刷新してみた
コンサル畑20年超の人間が、AIと二人三脚でNext.jsサイトをゼロから構築した話
梅津 宏紀
代表取締役社長 兼 CEO
正直に言おう。私はプログラマーではない。
最初に白状しておくと、私のプログラミング経験は20年以上前の約2年間だけだ。当時はHTML、JavaScript、Javaでウェブアプリケーションを開発していたが、その後はずっとコンサルティング畑を歩いてきた。コードを書く仕事からは完全に離れていた。
そんな私が、2026年の年明けに「自社のコーポレートサイトをNext.jsでフルリニューアルしよう」と決めた。外注すれば数百万円、数ヶ月かかる規模の仕事だ。でも、ちょっと試してみたかった。Claude Codeというツールが、本当に噂どおりの実力なのか。
結論から言うと、完全にハマった。いま、どハマり中だ。
「対話」でWebサイトが出来上がっていく体験
Claude Codeとの開発は、従来のプログラミングとはまったく別物だった。私がやったのは「何を作りたいか」を日本語で伝えること。ページの構成、デザインの方向性、載せたいコンテンツ、ブランドのトーン——これらを言葉で説明すると、Claudeがコードを書き、ファイルを作り、ビルドエラーまで自分で直してくれる。
たとえば「採用ページに、ライブサイトと同じ募集職種を反映して」と伝えれば、既存サイトの情報を読み取り、データ構造を設計し、UIコンポーネントを実装する。「フォントサイズが小さいから1.6倍にして」と言えば、該当箇所を特定して一括修正する。「DXという言葉はサイト全体で使いたくない」と伝えれば、全ページから該当表現を洗い出して別の言い回しに置き換える。
これは「プログラミングの自動化」ではない。もっと根本的に、「ものづくりの民主化」だ。ビジネスの構想を持っている人間が、技術的なバリアに阻まれることなく、直接的にプロダクトを形にできる。この体験は、正直、衝撃的だった。
経営者が「自分で触る」ことの意味
コンサルタントとして20年以上、クライアントの経営層と仕事をしてきた。IT投資やシステム刷新の提言は数えきれないほどしてきた。でも、自分自身が「作る側」に回る経験は、提言する側では見えなかった景色を見せてくれた。
制作会社に依頼していたら、「ここのコピーを変えたい」だけで数日のリードタイムが発生する。デザインの微修正にいちいち見積もりが必要になる。でもClaude Codeなら、思いついたその場で試せる。CTAの文言がしっくりこなければ、3秒で差し替えられる。サービスページの構成を変えたければ、その場で再構築できる。
この「トライ&エラーの即時性」が、プロダクトの品質を劇的に引き上げる。何十回もの細かいイテレーションを経て磨き込まれたサイトは、一発で外注したものとは明らかに違う仕上がりになる。経営者自身がビジョンと直接プロダクトの細部をつなげられる——これはAI時代ならではの体験だと感じている。
万能ではない。でも、ポテンシャルがすごい。
もちろん、すべてが完璧というわけではない。複雑なアニメーションの微調整や、画像の取得でプロキシにブロックされるケース、意図と違う修正が入ってしまうケースもあった。「AIが全部やってくれる」という幻想は捨てたほうがいい。
しかし、だからこそ面白い。AIに「丸投げ」するのではなく、自分のビジョンとAIの実装力を掛け合わせる。方向性は人間が決め、実装はAIが担い、品質チェックは二人三脚で行う。このコラボレーションの妙が、AI駆動開発の本質だと思う。
そして何より、このポテンシャルは業界に大きなインパクトを与えると確信している。Web制作だけの話ではない。業務アプリケーション、データ分析基盤、社内ツール——「作りたいもの」と「作れる人」の間にあったギャップが、劇的に縮まりつつある。コンサルティング業界も例外ではない。提言するだけでなく、その場でプロトタイプを動かせるコンサルタントの価値は、これから指数関数的に高まるだろう。
「絵に描いた餅を、具現化させるプロ」でありたい
CREEDのミッションは「絵に描いた餅を、具現化させるプロでありたい」だ。今回の体験を通じて、このミッションの意味をあらためて実感している。
AI駆動開発は、構想と実装の距離をゼロに近づける。ビジネスの構想力を持つ人間が、テクノロジーの力を借りて、自らの手でそれを具現化できる時代が来ている。これはコンサルティングのあり方そのものを変える変化だ。
私自身、いまわくわくしている。50代を目前にして、こんなに「新しいことを学ぶ」ことに興奮している自分に驚いている。毎晩、子どもが寝た後にClaude Codeを開いてしまう。次はこの機能を実装しよう、あのページをもっと良くしよう、と。このワクワクを、CREEDのメンバーにも、クライアントにも、伝染させていきたい。
結局のところ、AIは道具だ。でも、とびきり強力な道具だ。その道具を使いこなせるかどうかは、「何を作りたいか」という意志——つまりCREED(信条)——にかかっている。
梅津 宏紀
代表取締役社長 兼 CEO
CREED Business Consulting 代表。大手グローバルファームや国内戦略ファームにおいて25年以上のコンサルティング経験を有する。CIO/CDOなどのTechnology Leadershipの変革推進をサポート。